相続税の控除
相続税というと一般的にかなりの税金がかかるイメージがありますが、実際には様々な控除があり、相続税を払う必要のある方は全体の5%程度となっています。
相続税の控除には、次のようなものがあります。
1. 相続税基礎控除
すべての相続人が一律に受けられる控除です。
次の計算式で控除額が決定します。
5000万円+(法定相続人の数×1000万円) |
例:夫婦と子供2人の家庭で夫にあたる方が亡くなった場合
例えば夫婦と子供2人の家庭で夫にあたる方が亡くなった場合、法定相続人の数は妻と子供2人の3人となりますので、
5000万円+(3人×1000万円)=8000万円 |
この金額までの財産については相続税がかかりません。
相続財産の合計が1億円の場合、
1億円−8000万円=2000万円 |
となり、2000万円についてのみ相続税がかかります。
なお、法定相続人の数は相続を放棄した人も含めた人数となりますので、上記の場合で子供2人が相続を放棄しても控除を受けられる金額は同じです。
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2. 配偶者の税額軽減
被相続人の配偶者には大きな税額軽減の措置があります。
配偶者が取得する遺産が 遺産総額の1/2(法定相続分)以下 または1億6000万円まで であればその部分は非課税になります。
例:夫が5億円の相続財産を残して亡くなった場合
例えば夫が5億円の相続財産を残して亡くなった場合、次の金額までは非課税となります。
5億円÷2=2億5000万円 |
例:夫が1億5000万円の相続財産を残して亡くなった場合
例えば夫が1億5000万円の相続財産を残して亡くなり、妻がすべての財産を相続した場合は、次のようになるため相続税はかかりません。
1億5000万円 < 1億6000万円 |
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3. 未成年者控除
相続人が未成年者のときは未成年者控除が受けられ、一定額を相続税の額から差し引くことができます。
未成年者控除の額は、次の式で計算します。(年数が1年未満の期間は切り上げ)
6万円×(20歳になるまでの年数)=未成年者控除額 |
例:相続人が13歳8ヶ月の場合
例えば相続人が相続人が13歳8ヶ月の場合、次の金額が相続税の額から差し引かれます。
6万円×(20歳−13歳8ヶ月)=42万円 ※ 20歳−13歳8ヶ月の期間は6年4ヶ月なので7年に切り上げ |
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4. 障害者控除
相続人が70歳未満で障害者のときは障害者控除が受けられ、一定額を相続税の額から差し引くことができます。
障害者控除の額は、次の式で計算します。(年数が1年未満の期間は切り上げ)
相続人が一般障害者の場合: 6万円×(70歳になるまでの年数)=障害者控除額 |
相続人が特別障害者の場合: 12万円×(70歳になるまでの年数)=障害者控除額 |
例:相続人が45歳2ヶ月で一般障害者の場合
例えば相続人が45歳2ヶ月で一般障害者の場合、次の金額が相続税の額から差し引かれます。
6万円×(70歳−45歳2ヶ月)=150万円 ※ 70歳−45歳2ヶ月の期間は24年10ヶ月なので25年に切り上げ |
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5. 贈与税額控除
相続を受けた人が、相続開始前の3年以内に被相続人から贈与された財産は、相続税の対象になります。
しかし、贈与税をすでに支払っている場合には、相続税と贈与税の二重取りを防ぐために払った贈与税の金額分が相続税から差し引かれます。
6. 相次相続控除
相次相続とは立て続けに発生した相続のことをいいます。
立て続けに相続が発生した相続人の負担を減らす ためにこの制度が設けられています。
10年以内に2回以上の相続があった場合、前回の相続にかかった相続税の一定割合を今回の相続税額から控除できます。
7. 外国税額控除
相続税は海外にある財産に関してもかかります。
しかしその財産について日本の相続税にあたる税金が外国で課税されていた場合は、二重に課税されてしまうことを防ぐために一定額を外国税額控除として差し引くことができます。
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